俺はお前だけの王子さま
そのまま王子くんは上半身を起こして座ると、


ちゃぶ台の上の麦茶をゴクッと飲んだ。


氷の溶けた麦茶のコップからは
水滴がぽたぽた落ちた。


「ぬる…」


少し眉をしかめた王子くん。


私もゆっくり体を起こすと少し乱れた服を直した。


王子くんはコップをちゃぶ台に置きながら言う。


「つか…クーラー直す金はあんの?」


え?


冷静にうちのクーラーを見上げる王子くん。


「なっ…失礼な…」


それくらいあるよ…!


王子くんはいつになく真剣な顔をしながら少し首を傾げる。


「直すっつうか…むしろ買い直した方が良いぐらいの型じゃねぇ?」


「うぅ…否定はできないけど…」


そんな私に王子くんは
いたずらに口元を少しゆるめる。


「買ってやろうか?」


「結構です…」



濡れたコップを片付ける私に
王子くんは小さく笑った。


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