俺はお前だけの王子さま
革張りのソファーの前で立つ渡瀬は足が少し震えている。


俺はそんな渡瀬の頭をぽんとした。


「ビビりすぎ」


「…だって…」


「ビビり過ぎててなんか逆に笑える」


「ひど…」


少し笑う俺に渡瀬は泣きそうな顔で少し赤くなった。


「力抜けよ。フォローすっから」


「………」


「とりあえず、ちゃんと息吸え」


俺の言葉に渡瀬小さく深呼吸した。


ちょうどそのタイミングで
応接間に薄手のガウンを羽織った親父と母親が入ってきた。


親父は俺を見るとまず上機嫌で笑った。


「おかえり春馬。女連れて帰国とは俺の息子もなかなかやるなぁ」





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