俺はお前だけの王子さま
酒が回ったのか…?

気分が良さそうな親父。


「…うざ」


俺の一言に笑う親父。


「渡瀬さんが息子を変えたのかな?」


「え?」


親父の言葉に渡瀬は少し驚いた声を出した。


親父は優しい目をして渡瀬を見る。


「素敵なお嬢さんだしな。春馬の嫁にくるなら歓迎するよ」


親父の言葉に渡瀬は目を丸くした。


「えっ?いえそんな…」


「あれ?嫁には来たくないかな?」


「えぇ?…いえあの…」


もはや完全にテンパり赤く小さくなる渡瀬


そんな渡瀬をからかうように
親父はクスクス笑う。


マジで酔っぱらいかよ…


俺が適当にその場を流そうとした時


それを制するように親父が言った。


「春馬の嫁には歓迎。だけどね」


親父は優しく微笑むと渡瀬に言った。


「王子家の嫁としては…残念ながら今の渡瀬さんは受け入れられないね。」





親父の一言で穏やかだった場の空気が凍りついた。






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