俺はお前だけの王子さま
少し落ち着きを取り戻した渡瀬は顔を洗いたいと言った。


「ついでに着替えてこいよ」


俺の言葉に渡瀬は頷くと
パジャマを持って顔を洗いに出て行った。


俺は俺でいい加減疲れきった体をベッドに横たえた。


飛行機で寝てたから眠気はそこまでだけど…体は限界だ。



部屋に戻ってきた渡瀬は緊張ぎみに俺を見た。


「あ、もう寝るの?」


「ん…あぁ」


「そっか。じゃあ電気消すね」


渡瀬はベッドサイドのリモコンで灯りを消すと、そのまま布団に潜った。


「じゃあおやすみ」


おやすみ…

つーか


「え…そっちで寝んの?」


「え?」


「いや…こっち来いよ」


「………」


迷っているのか少しの間があいたあと


布団が擦れる音がして渡瀬は枕を持っておずおずとベッドの前に立った。


俺は上半身を起こすとタオルケットをめくった。


「どーぞ」


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