俺はお前だけの王子さま
「お…お邪魔します…」


暗闇の中、渡瀬は遠慮がちにベッドに上がる。


「広いベッドだね…」


「別に普通だろ」


「えぇ?普通じゃないよ」


「まぁ…渡瀬ん家の玄関よりは広いよな」


「………」


「つーかあの家いろいろ壊れすぎだろ。住む人間の気がしれねぇ」


「ひどい。私あそこに住んでるんですけど…」



暗闇に目が慣れてきてクスクス笑う渡瀬の笑顔が見えた。


「………」


俺と目が合うと渡瀬は少し恥ずかしそうにブランケットに顔を半分埋めた。


「私、王子くんのお父さんに嫌われちゃったね…」


ぽつりと言った渡瀬はまた泣きそうな雰囲気になった。


「いや…あれは別に嫌ってとかじゃねぇから」


「でも…」


「俺もよく言われるし」

「え…?」


「王子家の跡取りとしてもっと自分で考えろとか?」


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