俺はお前だけの王子さま
「え…?」


渡瀬も俺を見た。

絡む視線の先で渡瀬の瞳が小さく揺れる。


「………」


黙り込む渡瀬。

俺は渡瀬から顔を反らした。


さすがにスパイクごときで
土下座なんてするほど馬鹿じゃないだろ。


「さっさと帰れ」


俺が渡瀬を見ると

渡瀬は下駄箱の地面に膝と手をついていた。


帰り際の何人かの生徒がこちらをチラチラ見る。

「っ…!」


俺は渡瀬の腕を強引に引き上げて立ち上がらせる。


「なに…やってんだよ」

馬鹿じゃねぇ?


「お前にはプライドもないのかよ」


まじで信じられねぇ…


俺は俯いたままの渡瀬の腕を振り払った。



気分悪ぃ。

意味わかんねぇ…


「………」


土下座なんてさすがにさせるつもり、なかったのに…



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