俺はお前だけの王子さま
私は手紙をくしゃくしゃにして笑った。


「やだね、こうゆう事する人」


「うん…愛子大丈夫?」


「大丈夫、大丈夫!気にしないようにする」


心配そうに私を見る加奈子に
私はもう一度笑った。



本当は…大丈夫な訳じゃない。


悔しいし腹立つし悲しい。

胸にグッサリくる。


初めて手紙がきたときにはトイレでこっそり泣いてしまった。


だけど…


“今は渡瀬がいるから”


そう言ってくれた王子くん。



卒業したら知らない土地に一人で行く王子くん。


アメリカで仕事も大学もしなきゃならない王子くんは


平然としてるけど私なんかよりずっと不安なはずで。


その王子くんが私なんかの事を支えにしてくれてるのが嬉しかった。


だから王子くんの前では笑っていたいの。


私なんかでも王子くんの支えになれるなら…



負けたくない。


強くなりたい。



悪意の汚い感情に私まで染まりたくない。


私は王子くんと過ごせる時間は
たくさん笑っていたいんだ。



< 394 / 558 >

この作品をシェア

pagetop