俺はお前だけの王子さま
そんな私に


「変か?」


え…?


うるせぇ、とか何とか
またけなされるかと思ってたのに


王子くんはただそう言った。


予想と違う王子くんの返事に私は顔をあげる。


「………っ」


私が顔を上げると王子くんは…

私から顔を反らし少し拗ねた顔をしていた。


「お…王子くん?」


見たことない王子くんの表情に心拍数がさらに上がる。


「………」


王子くんは無言のまま私を手放すとまたベッドに腰をおろしてしまった。


放置された私はまた突っ立っている。


「お…王子くん?」


「…………」


王子くんはもう、いつもの表情に戻っている。


無表情な王子くん


「ご…ごめんね?」


「は?なにが?」


「え…いやだって…拗ねたでしょ」


私の言葉に王子くんは不機嫌そうに私を見あげた。


「………」

「………」


無言のまま視線が絡む。


しばらくして

王子くんはふいに視線を反らすと小さくため息をついた。


「馬鹿らし…言い合いとかめんどくせぇしもう良いわ」


「えぇ…?」


「渡瀬の誕生日だしな」


王子くんはそのまま頭をかいた。



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