俺はお前だけの王子さま
えぇ?

や…やだ…なにそれ


私はスカートを掴んだ。


どうしよう…私のせいだ。


せっかく王子くんが素顔を見せてくれたのに…


「…………」


私は意を決めると

ベッドのふちに座る王子くんの膝をまたぐように座り、そのまま王子くんに抱きついた。


「…は!?」


いきなりの私の行動に王子くんの体が驚いて固まったのがわかった。


「ご…ごめんね!」


恥ずかしくて恥ずかしくて、自分の顔が真っ赤になるのがわかった。


だけど…

恥ずかしいけど私だって…


本当はずっとこうしたかったの


私だってソワソワして期待してたのに。


先に勇気をだしてくれた王子くんを傷付けてしまったんだ。


「ごめんね…」


私は王子くんの首に抱きついたまま、ただ必死に謝った。


「………」


王子くんは小さく息をはくと
そんな抱きついたままの私の体を優しく抱きしめ返してくれた。



「…渡瀬に触れたかった」


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