俺はお前だけの王子さま
渡瀬 愛子・side

意外な彼

今日は特売には間に合わなかった。


だけど嬉しい気持ちでいっぱいだった。


王子くんにもらった箱を抱きしめながら玄関をあける。


「ただいまー!」


「お帰り~腹減ったよ~」

私の声にTVを見ている勇気が振り向く。


「はいは~い」


私はいつものように制服のまま台所に向かう。





今日は肉じゃが。


「ん~うめ」



笑顔でじゃがいもをほお張る
勇気に私はわくわくしながら
あの箱を渡す。


「はいっどうぞ!」


「ん?なに?」


「良いから開けてみて」

「ん~?」


お箸をおいて箱をあける勇気。

とたんに勇気の目が輝きだす。


「え?え!?え~!!まじで?」


箱と私を交互に見ながら興奮したようにスパイクを取り出す勇気。


そんな勇気の笑顔に私も笑顔になる。



「へへへ。お姉ちゃんのクラスの子が譲ってくれたんだよ」


「まじで~!!?」


信じられないって顔をしてる勇気。


この笑顔のためなら
お姉ちゃんはなんだって我慢できるんだよ。



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