俺はお前だけの王子さま
「………あ?」


「…なんか…無理」


「………」


王子くんは私を見た。



そんな目で…見ないで…


「なんか…緊張しすぎて恥ずかしすぎて…耐えられそうにない」


私は、はだけた胸元を隠した。


「ごめん…ね」


泣きそうになりながら謝る私。


「………」


そんな私を見て王子くんはそのまま自分のカッターシャツを脱いだ。


え…?

びっくりする私の手を王子くんは掴んで自分の心臓に持っていった。


トクトクトク…


王子くんの心音が手のひらに伝わってくる。


早い鼓動…


「悪いけど…そんな理由じゃ、俺も無理」


王子くんはぽつりと言うと、
掴んだ私の手首をそっと離した。


「…俺だって緊張くらいしてる」


「………」


王子くんは少し赤くなった。


「お前も俺も…好きだから緊張すんじゃねぇの?」


「………」


それだけ言うと王子くんは優しく私をベッドに寝かせた。


「それでも、無理か?」


「っ…」


私は小さく首を横にふった。


王子くんの優しさに、こめかみに涙が伝った。



「大好き…」




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