俺はお前だけの王子さま
HRが終わりに近付いた頃


桂先生は王子くんの席に目をやるとため息をついた。


「それにしても…王子の頭の中はどうなっているのか…」


桂先生は私を見た。


「全く、渡瀬に教えて欲しいもんだ」


「え…?!」


桂先生からの予想外のパスに、私は猛烈に顔が熱くなった。


「ははは、冗談だ」


笑う桂先生にクラスの数人も小さく笑った。


私は真っ赤になったまま俯いた


「しかし王子もうまくやったもんだな。渡瀬お前騙されているんじゃないか?」


笑いを取った桂先生は少し調子に乗ったように、さらに突っ込んできた。


「あんな奴はろくでもないぞ」


桂先生の言葉に私は顔を上げた。


「そんな事…ありません」


小さく反論した私に桂先生は首をふった。


「いや、恋は盲目と言ってな。あんな甘やかされて調子に乗った奴はろくでもない。進路表だって平気で無視しおって…まぁ親が食わしてくれるから問題ないのかもしれんが…」


桂先生は嫌みたっぷりに言った。


< 418 / 558 >

この作品をシェア

pagetop