俺はお前だけの王子さま
冗談ぽく言っているけどこれは桂先生の本心だとわかった。


私は机の下でスカートを握りしめた。


王子くんのこと何も知らない癖に…

ひどいよ先生


「金もあって顔もよくて調子にのる気持ちも分かるがなぁ。あんな無愛想で調子に乗った奴は駄目だ。」


腕を組ながらそう言う桂先生。


私は唇を噛みしめた。


もう止めて欲しい…


ここに王子くんはいないけど

これ以上王子くんを傷つけないで欲しい



「…やめてください」


気付くと私は言っていた。


声が小さく震えたのが自分でもわかった。


「王子くんは…優しいです」



私の言葉に教室が少しシーンとなる。


「王子くんは…不器用なだけで…本当に優しいし真面目なんです」



シーンとした教室で

全員の目が私に向いているのがわかった。


恥ずかしくて耳が真っ赤になる


だけど


「王子くんをちゃんと見ようとしないのに…これ以上悪く言うのはやめてください…」


王子くんを悪く言わないで…


言いながらいつの間にか涙が出ていた。



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