俺はお前だけの王子さま
「すいません~腹痛でした♪」


水梨くんは悪びれることなく謝りながら席につく。


王子くんは無言のまま私の席にきた。


不機嫌な表情の王子くんに見下ろされ、


私、余計な事をしたかも…と
恥ずかしくなった。


王子くんはこういう事をされるのは嫌いかもしれない。


「お前…何やってんの」


「ご、ごめんなさい…」


「…………」


王子くんは小さくため息をついた。


そして


グイ

王子くんは私の腕を掴んで立たせるとそのまま強引に歩き出した。


え…?!


王子くんに引っ張られるようにして私も教室の出口に向かう。


「王子…?お前どこに行くんだ!?HR中だぞ!」


桂先生の声が響く。


「………」


王子くんはゆっくり止まると
静かに桂先生を見た。





キ―ンコ―ンカ―ン…


チャイムが鳴り響いた。。




「…HR終わったからもういいっすかね?」


王子くんはそう言うと私を引っ張って教室を出た。


「お…王子くん…」


「…………」



無言で歩き続ける王子くんの背中を見ながら――…


背後の教室でドッと悲鳴が溢れたのがわかった。




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