俺はお前だけの王子さま
「それに…なにしてんのって私、言われたし」


そう言うとまたしゅんとしてしまった渡瀬。


確かに俺は態度が悪いが…


「さっきので…俺が渡瀬に怒るとか意味わかんねぇだろ」


俺を想って、してくれた行為だろ?


俺はそこまで冷徹じゃねぇ


「………」


つうか、むしろ


「…渡瀬の気持ちは嬉しかった」


俺の言葉に顔をあげる渡瀬。


「ほ、ほんと?」


俺は無言でうなずいた。


渡瀬は安心したように少し口元を緩めた。


そんな渡瀬に俺は続ける。


「だけど、これからはもう反論とかしなくて良いから。」


ゆるんだ渡瀬の表情がまた曇った。


「…え…なんで……?」


「俺、桂にどう思われてようが別にどうでも良いし」


「………」


「それに俺を庇ってたらきっと渡瀬も桂に目ぇ付けられる」


俺は渡瀬を見た。


「だから、もうすんな」


別に桂には好きに言わせておけば良い。


無駄に渡瀬が桂のあの汚い視線を浴びる必要はねぇ。


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