俺はお前だけの王子さま
俺は漫画から渡瀬に目を移した。


渡瀬は俺を見ていた。


「っ」


角度的に上目遣いになる渡瀬に少し胸がどきりとする。


俺は渡瀬から目をそらすとまた漫画を見た。


「頭重い。渡瀬、放れろ」


「…王子くんヒドイ」


俺の言葉に渡瀬は体を離すと背中を向けてしまった。


小さな背中でいじける渡瀬に
思わず腕が伸びる。


俺が渡瀬を後ろから抱きしめると渡瀬は少し俯いた。


「王子くん…ずるい。」


そう呟きながら耳を赤くする渡瀬。


そんな渡瀬の耳に後ろからキスをした。


渡瀬が身を小さくする。


その反応に俺も止まらなくなってくる。


渡瀬の小さな胸に手を回すと
渡瀬は少し逃げるように振り向いた。


「…王子くんて…飴と鞭だよね」


ためらいがちに俺を小さく睨む渡瀬。


そんな風に怒られてもな…


俺は渡瀬の腕を引いてその小さな肩を抱き寄せた。


「ここ学校だよ…」


そう言いながら全然本気で拒まれてる気がしない。


「んなの知ってる」




俺はそのまま渡瀬の唇にキスをした。







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