俺はお前だけの王子さま

タイムリミット

――――――
――…




3年生になると俺たちはクラスが離れた。



渡瀬は1組、俺は5組。


「なんで私が1組で王子くんが5組になったんだろ…」


3年になってしばらく経った休み時間、腑に落ちないように渡瀬が呟いた。


渡瀬のいる1組は

内申点が高くどちらかといえば優秀な生徒が集まっていた。


対する俺の5組は

主に成績が悪い生徒が集まるクラスのようだ。


「まぁ…要するに渡瀬は桂のお気に入りで、俺は成績より日頃の素行に問題があるんじゃねぇの?」


1組の担任は桂だった。

そして実際に1組は桂のお気に入りの生徒が半数を占めていた。


ちなみに徳井も1組だったりする。


あいつは桂の一番のお気に入りだからな。



俺は廊下の窓からを外を眺める
渡瀬の横顔を見る。


渡瀬は少し寂しそうな顔をしていた。


最近、渡瀬はたまにこんな顔をする。


その時、強い風が窓から吹き込んだ。


「わっ…」


渡瀬の細い髪が絡まるように顔にかかった。


渡瀬は少し慌てたように顔にかかった髪に手をやる。


俺もそんな渡瀬の髪に手を伸ばすと、絡まる部分を指先でほどいてやった。


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