俺はお前だけの王子さま
「あ――…」


そのままヒロキは砂浜に大の字になる。


「なんか~淋しい~」


そのまま叫ぶヒロキ。


「卒業したくね~」


そんなヒロキを見て夏木も渡瀬も笑った。


でも笑いながらどこか淋しそうな顔をしている。


付き合いきれねぇ…


「つーか…寒いし」


俺はポケットに手を突っ込むと呟いた。


そんな俺をヒロキは寝転んだまま見上げる。


「なんでお前はそんな普通なんだよ~」


「…別に卒業したって一生離れる訳じゃねぇだろ」


「そうだけどよ~」


「卒業なんてただの儀式で2日後3日後も俺は俺だ」


そう言う俺にヒロキはがっかりとため息をつく。


「あ~なんかそう言われると、せっかくのムードが消えていく…」


「悲しいムードとかわざわざ作んなよ、辛気くせぇ」


「え~?マジで~?」


「大体悲しんで良いことあんのかよ」


「お前なぁ~」


ヒロキは呆れたようにケラケラと笑う。


そんなヒロキの間抜けな笑い顔を見て、俺の口元もゆるんだ。



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