俺はお前だけの王子さま
空港につくともうあまり時間はなかった。


ゲートの前で王子くんを見送る私。


絶対に笑顔で見送るって決めたから…


「王子くん…気をつけてね」


私はいつもと同じ笑顔で王子くんを見つめた。


「…あぁ」


「私、待ってるから!」


「………」


王子くんはそんな私に小さく微笑むと、


私の頬に手を伸ばして優しくキスを落とした。


人前では手もつながない…

シャイで不器用な王子くんの唇が優しく触れる。


唇から王子くんの気持ちが流れ込んでくるようだ。


王子くん…


唇が離れると、王子くんの黒い瞳から一粒の涙がこぼれ落ちた。


「……!」


「わりぃ、…ださ」


そう言うと私に背中を向けた
王子くん。


「~~~っ」


私はそんな王子くんの背中を抱きしめた。


「私…絶対に待ってるから」


「………」


「王子くんのこと待ってるよ」


王子くんは小さく頷くとこちらを向いて私を抱きしめた。


「…絶対すぐに迎えにくる」


しっかりと私を抱きしめて耳元でそう言った王子くん。


そして王子くんはゆっくり私から離れると、そのままゲートの向こうに歩いて行った。



だんだん見えなくなる王子くんの背中を見つめて――…



「…ふ…ぁ…っ」


私は我慢していた涙が溢れだした。


「王子く…んッ…」


わあぁぁ…と

私は立っていられずそのまま泣き崩れた。



王子くん

王子くん…



私も絶対にがんばるからね…!



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