俺はお前だけの王子さま
そして調子にのる私。


「ば…お前もういい」


たまらなくなった王子くんは、私の手からスポンジを奪った。


向かい合って座る私も王子くんも泡まみれだ。


いつの間にか恥ずかしさも消え二人して子供に戻ったみたいに笑いあっていた。


楽しい

嬉しい―…


こんな時間が永遠に続けば良いのに。


こんなに笑いながら同時に胸が切なくなるなんて…


王子くんは少し照れたように無表情に戻ると

また私に背中を向けさせた。


「…次は真面目に洗ってやる」


そう言う王子くんは後ろから私の腕を洗った。


「………」


本当に真面目に洗う王子くん。

王子くんは優しく丁寧に洗ってくれた。


腕の次は足。

足の次はウエスト…

ウエストの次は――…



「お…王子くん…もういいよ?」


だんだん際どくなる場所に、こしょばいのとは違う意味で私は王子くんを制止した。

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