俺はお前だけの王子さま
だって…

これ以上は……



「……………」


だけど王子くんはスポンジを置くとそのまま後ろから私を抱きしめた。


「渡瀬…」


後ろから抱きすくめられ

バスルームに小さな王子くんの声が小さく響いた。


笑いあっていた雰囲気はいつの間にか甘く切ない雰囲気に変わっていた。


「王子く…ん」


抱きしめる王子くんの腕に力がこもる。


本当に…

本当にこのまま時間が止まれば良いのに。


後ろから私に唇を近付ける王子くん。



「あ…泡まみれだよ…?」


唇がギリギリ触れる前に言った。


「…………」


王子くんは無言のままシャワーをひねる。


熱い蒸気と共に泡が溶けて流れる。


「…ん…っ……」



シャワーの雨が降る中で

私と王子くんはもう一度愛し合った。









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