俺はお前だけの王子さま
だけど


「…………」


私は記憶を探ってみた。


前回の生理は…?


そう言えば王子くんと会う前だった…。


「でも…毎回きちんと避妊は…」


そう言いかけて…

私は言葉が出てこなくなった。






そう言えばあの日―――…


バスルームで――――…







「…………」


固まる私を見て山田さんは少し微笑んだ。


「まだなんとも分からないですよ…?だけどもし思い当たることがあるならば、きちんと検査してみなきゃ。」


「は…はい。」


「とりあえず今日はお疲れみたいなのでゆっくり休まれては?」


「……はい…」


だんだんと小さくなる私の声。


山田さんのご厚意に甘えて私は帰宅することにした。





鉛のように重い足取りで帰路につく。




頭の中がぐるぐる回る。



どうしよう…



妊娠してたらどうしよう…





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