俺はお前だけの王子さま
赤ちゃんが出来たの―――…










「は……?」


俺は拍子抜けな声を出した。


そんな俺に渡瀬は泣きながら続ける。


「ひっく……妊娠してるの…」


「…………」


「ごめ…なさい…だけど私産みたい…」


「…………」


突然の事態と…

渡瀬が病気ではないという安心感からか

俺は言葉を失っていた。


「…………」


マジで………?

マジで俺の子供がそこにいんのか?


俺に背を向けたまま泣き続ける渡瀬。


俺はそんな渡瀬の小さな体を見つめた。


渡瀬…

渡瀬はいつ気付いたんだ?


こんなに泣きじゃくるまで不安な気持ちを1人ずっと抱えていた渡瀬。


「渡瀬…こっち向けよ」


「ひっく…ぐす…」


「なぁ…渡瀬?」


「……………」


俺に背を向けたまま小さく震える渡瀬。


ここまで渡瀬を不安にさせたのはこの俺だった。


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