俺はお前だけの王子さま
「育児ってやっぱり大変なのかなぁ?」


「出産ってやっぱり痛いのかなぁ?」


腰をさすられながら、ぽつりぽつりと呟くように話す愛子。



「あ、今動いた~」


愛子の言葉に俺は腰を擦る手をゆっくりと愛子の腹に回した。


後ろから愛子の体を抱くと、
ポコポコと小さな波が手のひらに伝わってきた。


「なんかスゲーな」


「ふふ、男の子かなぁ?女の子かなぁ?」


愛子は俺の方に体の向きを変えると、俺の胸に顔を埋めた。


性別は産まれるまでのお楽しみらしくまだ誰も聞いていない。


「名前どうしよう?考えてる?」


俺の腕の中で愛子は少し首を傾げるように俺を見た。


「お義父さんはやっぱり馬を付けたいみたいだね。」


「…んな意見ほっとけよ」


「え~そういう訳にもいかないよ。冬馬とかなら良くない?」


「女ならどうすんだよ。馬子か?」


俺の意見に愛子は小さく笑う。


< 548 / 558 >

この作品をシェア

pagetop