俺はお前だけの王子さま
**年後
「おい…」
「ん?」
俺の声に
「…あぁ、あれね」
愛子はナイトテーブルに腕をのばし、引き出しから老眼鏡を取りだした。
「はい、どうぞ」
「ん」
落ち着いた色の大きなベッドで読書をする俺と、その隣で寝そべる愛子。
「…少し明るくしようか?」
「あぁ、頼む」
俺の返事に、愛子はベッドサイドの灯りを少し強めた。
日常生活では眼鏡なんていらないが
読み書きに関しては近ごろ滅法弱くなった。
いつの間にか
そして確実に月日は流れる。
もう歳だな…
俺は目頭に指を押し当てた。