俺はお前だけの王子さま
しばらくすると
寝ていた愛子は俺の隣でメールをしだした。
相手は…冬馬か愛馬か?
「そういや、愛馬は元気にしてるのか?」
俺は書物に目を落としながら聞いてみた。
娘の愛馬(えま)は今年の初めに嫁いでいった。
「うん、元気みたい。今ヒナタ君と旅行に行ってるみたいだよ」
そう言いながら、愛子は携帯画面を俺に向ける。
そこには旅先にいるという内容のメールと
今日撮ったらしい写真が添付されていた。
愛馬とヒナタの笑顔の背景には沖縄のエメラルドグリーンの海が広がっていた。
懐かしいな。
家族でも何度も訪れた地だ。
「次はいつ帰ってくるんだ?」
「さぁ?クリスマスかお正月かな…?聞いてないけど」
クリスマス…
クリスマスなんてまだずっと先だ。