俺はお前だけの王子さま
そんな愛子に俺は小さく口元をゆるめる。



歳ったって…

愛子は十分に若く見える方だと思うが。


それに例えさらに歳を重ねても俺にとって愛子は愛子だ。


何も落ち込むことはないと思うんだが…。





一通り悶え終えると愛子はふぅと遠くを見た。



「なんだか…ここまで本当に、早かったわぁ…」


「……はぁ?」


愛子のいきなりの歳を感じさせる発言に


俺は思わず吹きそうになってしまった。


気持ちは20代じゃなかったのか?



「別に…むしろまだまだこれからだろ?」


俺は愛子の頭をポンポンと撫でた。


「それとも俺と二人の老後じゃご不満か?」


老後って年ではまだないと思いたいけれど。



「そんなことないよ。あなたこそ…」


愛子は軽く口を尖らせると俺をみた。


「老後が私みたいなおばさん相手でいいの?この前入った新しい秘書の子なんてすごく可愛い…」


そうやって、わざとらしくやきもちを妬いてみせる愛子。



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