俺はお前だけの王子さま
昔みたいに俺を呼んで。
「ほら、呼べよ…」
お互いにもう
昔とは随分違うけれど。
「は…るま…」
愛子は小さくそう言うと、腕をきゅっと俺の首に回した。
激しく鮮やかだった彩りは、
いつしか透明になり見えなくなった。
けれど共に歩む日々の中で
それは見えないけれど確実に存在していて。
形や色を変え、穏やかでかけがえのない一部になった。
「お、王子くん…///」
「ふは、なんだよそれ…懐かしすぎ」
お前が俺を呼ぶたびに
俺はいつだって。
いつまでも――…
*fin*
俺はお前だけの王子さま