俺はお前だけの王子さま

お前、本気で徳井の下心に気付いてないのか？


アイツだって男だぞ？

気もない相手にあんな笑うかよ


本気で分かってないとしたら…


「馬鹿か？」


俺の言葉に渡瀬が振り向いた。


「…なにが？私？」


首を傾げる渡瀬。


「………」


俺は頬杖をついて渡瀬から目を反らした


「…別に。こっちの話」

ふーん？と
渡瀬はまた前を向く。


冷静に考えたら。

そもそもなんで俺がいちいち
イライラしなきゃなんねぇの？


それこそ馬鹿らしい。



俺はぼんやりと
ヒロキと渡瀬の後ろ姿を見ていた。