俺はお前だけの王子さま
放課後ー…


俺は渡瀬の席に行った。

かばんに教科書を詰めている
渡瀬の前に立つ。



「ちょっと来いよ…」


俺の低い声に
渡瀬は動きを止めて少し目を大きくした。


「…なに?」


「…………」



俺が黙って教室を出ると渡瀬も慌てついてきた。


スタスタスタ


俺の後を駆け足で追う渡瀬


「待ってよ…」



人通りの少ない渡り廊下まできて、俺は振り返った。


「…………」


少しの沈黙


遠くで学生がはしゃぐ声が聴こえる


俺は渡瀬を見た。


「…お前修学旅行来ねーの?」



俺の言葉に
渡瀬は一瞬顔が曇った。

「え…?」


そして歯切れ悪く


「あ…と、うん。」


明らかにぎこちない笑顔で答えた。



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