俺はお前だけの王子さま
「…………」


「当日の仕事、押し付けるのは申し訳ないと思ってるけど…」


「…………」


「悪いけど行けない…」


渡瀬は湯呑みを握りしめていた。



うぜぇ…


すげぇむかつく…



「仕事とか……」


仕事とか…

どうでもいいんだよ…


「………」


俺はそんなことで
わざわざ来たんじゃねぇ…


そう言いかけて、止めた。


こんなんじゃ…

まるで俺が心配で来たみたいじゃねーかよ…



「気分わり…帰るわ」


俺は立ち上がった。


玄関に向かうと渡瀬もついてきた。


背中から


「わざわざ来てくれてありがとう…」


渡瀬の消え入りそうな声が聞こえた。




俺が振り返ると


渡瀬は今にも泣きそうな顔をしていた。


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