俺はお前だけの王子さま
「…賭けはコーラだっけ?」


俺は地面に置いたかばんから
財布を取り出す。


「う―ん、だったけど
変えてい?」


「…なんだよ?」


ヒロキがにやりと笑う。

こいつのこんな顔は
だいたい女がらみ。


ほんとコイツは黒いんだよ。


「俺と渡瀬さん、取り持ってよ」


「渡瀬さんって誰?」


「だからお前と一緒の委員だって。どんだけ馬鹿なんだよ―」


笑うヒロキ。

馬鹿じゃなくて
興味がないだけだし。


「ヒロキ、渡瀬が好きだっけ?」


確か最近、先輩狙ってたよな?


「いいじゃん。渡瀬さんの事も密かに狙ってたんだよね。」


ヒロキは指でボールを回す。


ったく…

今のヒロキを
クラスの女子に見せたいぜ。



俺はフェンスにもたれて
小さく息を吐いた。


俺たちは毎日
こんなことの繰り返しだ。



俺はぼんやりと空を見上げた。


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