俺はお前だけの王子さま
ドクン…


渡瀬の顔を見下ろす―…



乱れた渡瀬の髪が俺の手に絡みついて


唇は今にも触れそうな近さにあった



ドクン…


どこもまだ触れてないのに

お互いの体温を感じた



渡瀬と視線が交わる





流れる全ての時間が止まった―…




ドクン…



「あ……の……?」



渡瀬の柔らかい息がかかり
一気に時間が戻ってきた。


「!っわり」


俺は手を後ろについて
慌て体を引き離した。



チクッ!

「いてっ…!」


指先に鋭い痛みが走る。


「あっ大丈夫!?」


なんだ?

振り返ると割れた床に置いた指から血が出ていた。


渡瀬は慌て救急箱を持ってきた。


「ごっごめんね!うち…古いから…」


渡瀬は謝りながら
俺の手をとり消毒を始めた。



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