俺はお前だけの王子さま
「実は…修学旅行に行かない事になったんだ」



昼休み


最近は天気のせいで
屋上ではなく空き教室。


いつの間にか4人で食べる習慣がついていた。



修学旅行まで残り10日になって
ついに渡瀬が言った。



「ごめんね…。」


ヒロキと夏木はぽかんと口をあけた。


「え…?なんでぇ…?」

夏木の顔が歪む。


渡瀬は苦笑いする。


「外せない家の用事と重なっちゃったの!ショックだよ~」


少し離れてる俺は
白々しい渡瀬の嘘にため息をついた。


「マジで?…絶対に外せないの?」


ヒロキもショックを隠しきれていない。


「うん…ごめんなさい!」


渡瀬は顔の前で手を合わせた。


「そんな…」


落胆するヒロキ。



「やだよ…すっごく楽しみにしてたのに…」


夏木が泣き出した。


お前が泣くなよ…



「私もだよ…ごめんね…」


俺が渡瀬を見ると
未だに痛々しく笑っていた。


なんだよ…

マジで理解できねぇ…



「…………」


俺は3人から顔を背けた。


< 84 / 558 >

この作品をシェア

pagetop