キミといたくて ~YUI~

翌朝、あたしは奈美たちと落ち合う場所には行かず、ひとりで学校へ向かった。

いつもより20分早めに家を出たから、教室に着いても、まだ数人しかいなくて。

トイレへ行ったり、無駄に校内を歩いたりして、時間を潰す。

そろそろ予鈴が鳴る。そう思って教室へ戻ろうとしたとき、廊下で賑やかに騒ぐ奈美たちと目が合った。

「……あ、そういえば! 昨日言ってたアレ、どうだった?」

あからさまにあたしを睨み、目を逸らした奈美。

「……っ」

自然と歩くのをやめた自分が恥ずかしくて、急いで教室に入る。

悔しくて、悔しくて。こんな自分が恥ずかしくて。

今すぐ家に帰りたい。
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