キミといたくて ~YUI~

次の日の昼休み、あたしはもう食べ始めている真由美ちゃんに声をかけ、手もとに置いた小さな入れ物をパカッと開けた。

「真由美ちゃん、これ食べて。お母さんに頼んで、入れてもらったの。フルーツが好きって言ってたよね?」

「え、いいの?」

昨日、自分で買ってきたイチゴ。いつものお礼だと言って渡したら、真由美ちゃんは遠慮がちに食べてくれた。

「あ、亜矢にもあげて? イチゴは亜矢の大好物なの!」

おいしいと笑っていた真由美ちゃんが、ふと思い出したように頼んでくる。

「うん! 亜矢ちゃんも食べて!」

昨日、どれを買おうか迷ってたんだけど、イチゴを選んで大正解。

あたしはにっこり微笑んで、亜矢ちゃんのそばにイチゴを置いた。

「美味しい! ありがとうね、結衣ちゃん」

「喜んでもらえてよかったぁ」

何度もお礼を言ってくる真由美ちゃん。

ほんとよかった。今日は結構、楽しいな。

休憩時間では、昨夜のMonsterについて盛り上がれたし、雑誌が見つからなくて切り抜きはまだ用意してないけれど、持ってきたフルーツが偶然、亜矢ちゃんの大好物だったなんて。
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