キミといたくて ~YUI~
これを見せたら、少しはわかってくれるかもしれない。
「見て、これ!」
ここまでするっていう気持ちをわかってほしい。
ねぇ亜矢ちゃん、あたし、ふたりの中に入りたいんだ。入れてほしいの、卒業までの間だけでいいからさ。
「あー、買ったんだ?」
かばんから出した携帯電話を見せると、真由美ちゃんは大きく口を開いて、満面の笑みで微笑んでくれた。
昨日、あたしはスーパーの前に雑貨屋へ行き、ふたりと同じものを買ったんだ。
「あたし、青にしちゃった」
フルーツ用に渡されたお金を使っちゃったから、後でお母さんにはすごい怒られたけれど、どうしても欲しかったの。
「じゃあ、ストラップは3人のおそろだね!」
ほら、真由美ちゃんもこう言ってくれてる。だから、これを見せれば、亜矢ちゃんもきっと。
「……」
見せればちょっとは伝わるんじゃないか、って考えてた。
そこまでしてあたしたちの中に入りたいの? そう思ってもらえることを期待しながら、色違いのストラップを見せたんだ。
だけど、亜矢ちゃんは表情を優しくすることはなく、むしろ、怒鳴ったときよりも険しい目つきで、あたしの手もとを睨んでくる。