キミといたくて ~YUI~

挨拶を交わしても、亜矢ちゃんはかばんを置いたら、そのままイスに腰掛けた。あたしたちは話しながら、彼女の席まで歩く。

どう誘えばいいのかと考えていたら、代わりに真由美ちゃんが話を切り出してくれた。一緒に行こうよ、って。

だけど案の定、亜矢ちゃんは。

「ごめん。親が最近厳しいから、勉強しなきゃだし」

悩む様子もなく、つんとした表情で断った。

心の中で「やっぱりな」とつぶやくあたし。でも、真由美ちゃんは「勉強会ってことにしても?」と、すぐには引き下がらなかった。

「……」

真由美ちゃん、ひとりで泊まるのはイヤなのかな。

「無理だね。泊まりとか許さないよ、うちの親」

何を言われても気持ちは変わらない、って感じの亜矢ちゃん。

つんけんした口ぶり、ブスッとした顔。

そんな彼女に、あたしもこれ以上、誘うつもりなんてなかった。あきらかに、あたしがイヤで断ったってのが見て取れたし。
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