キミといたくて ~YUI~
「真由美と亜矢ちゃんって、公立はどこを受けるの?」
1時間目の準備を終えて、やることがなくなったから亜矢ちゃんの席へ行った。
「ふたりとも東高だよぉ」
相変わらず、亜矢ちゃんは返事をしない。うつむいてる彼女を気にしつつも、あたしは言葉を返してくれた真由美に微笑む。
「東かぁ! そこなら、あたしも行けそう!」
奈美たちと同じ高校には行きたくない。
「あ、一緒に受ける?」
「そうだなぁ、親にも相談してからになるけど……今だったらまだ間に合うよね?」
笑いながら真由美と話しているけれど、内心は人を振り回した奈美たちにムカついている。
“え、結衣……北高受けるの?”
数ヶ月前のあたしは、担任の先生から成績に適応してる高校を訊き、そこを志望校にしていた。けれど、ある日の休憩時間、進路希望の紙を覗き見た奈美は、あたしにこう言ったんだ。
“一緒の高校へ行こうよ。あたしもあの子たちも、西高受けるんだよ?”
4人グループのうち、3人が同じ高校を受ける。これと言って北高を受ける理由もなかったあたしは、その話を聞いた瞬間、急いで志望校の欄に消しゴムをかけた。