キミといたくて ~YUI~

かばんを置いたまま、教室を飛び出した。真由美も後をついてくる。あたしたちは人ごみをかき分けて廊下を走った。

しばらくして、階段付近で亜矢ちゃんを見つけることができた。ホッとして立ち止まる。すると、真由美は……。

「亜矢っ」

あたしよりも先に、声をかけたんだ。

「……何?」

ピタリと立ち止まり、ゆっくりと振り返った彼女は、あたしを見て不機嫌な表情をした。

彼女の冷たい物言いに、真由美も口ごもる。

何も言わないあたしたちに苛立ったのか、亜矢ちゃんはブスッとした態度で、また背を向けようとした。

「亜矢ちゃん、ごめん! あたしがMDを借りようとしたから……怒ってるんだよね?」
< 54 / 109 >

この作品をシェア

pagetop