キミといたくて ~YUI~

大輔は聞こえないふり。

「もうすぐ試合だから、選ばれるために必死なのよ」

代わりに答えたお母さん。あたしはプッと吹き出して、こう言った。

「半年も飲み続けて伸びないんじゃ、もうダメなんじゃない?」

2歳年下の大輔は、あたしよりも背が低くて、身長にコンプレックスを抱いている。

そして、バスケ部に入っても、ずっと補欠で、試合に出たことがないらしい。

「ていうか、選ばれないのは身長のせいじゃないんじゃない? 牛乳を飲むよりも、もっと練習したら?」

うちのクラスのバレー部だった男子は、背が低くても試合には出ていた。だから、出れない理由は、身長だけじゃない気がする。

正直に思ったことを言っただけなのに、大輔は眉間にしわを寄せ、険しい表情でリビングを出ていった。
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