キミといたくて ~YUI~

「どうしたの?」

様子がおかしいな、と思った。

肩に手を置くと、真由美はハッとした表情で振り返る。そして、にっこりと微笑んだ。

「……さっきね、そこに亜矢がいたんだ」

真由美は渡り廊下のど真ん中を指さす。

目を向けたけれど、別のクラスの子たちしかいなくて、そこに亜矢ちゃんの姿はもうなかった。

「いつも手塚さんや和田さんたちといるから、話しかけるなら今かな、って思ったんだけど……」

横顔を見つめるあたしは、真由美の鼻がじんわりと赤くなっていくのに気がつく。
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