とまった夏の日(仮)
「今日は一体……どんな集まりなの?珍しいよね……」


「んん~……ま、まぁね……」



そんな私に言葉を濁す愛子の彼氏、優<ユウ>。


「つーか寒くない?」


「ん?……うん」


呼吸を整え、この異様な空気を変えようと話題を変えるが、うんうんとうなずくだけで誰も話そうとしない。

まだ冬の厳しさが残る寒さのせいだろうか。


 なんか嫌だな……。愛子ってば、こいつらもいるってなんで電話で言わないのよ!
自転車を止めながら、頭の中で瞬時には整理しきれない状況が私を苛立たせる。

私が振り向くと、愛子たちが顔を見合わせた。


「じゃな、恭司……」


優が軽く手を挙げ恭司にそう伝えると、愛子と優は歩き出す。

私も二人の後を追いかけようとするが、


「すみれはそこにいて!」


と、振り返り愛子が言った。


「ちょっ……?!ちょっと愛子っ?!」


振り向きもせずに、愛子は遠くに見えるブランコの方へと歩いていく。

立ちすくんだ私の肩がガタガタ震えるのは、寒さのせいだけじゃない。
ちょっと!!恭司と二人にしないでよっ?!怖いんですけどっ?!

私は小さくなる愛子たちの姿から目が放せず、そう思いながらオドオドし始める。
何度も分厚い上着の裾を握ったり、小さく引っ張ったりして落ち着きがない。

目の前には中学のときから仲の悪かった相手がいるからだ。
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