それぞれのバレンタイン~渡せなかったチョコ~
しばらくしてあいつがこっちに歩いてきた。
私の嫌な予想。
どうか当たらないで。
私の前で立ち止まって
「俺、窓際でいつも本読んでる子いるだろ?あの子と付き合うことにしたから。お前もそのチョコ渡して、うまくいくといいな。」
やっぱり…。私は手の箱をきゅっと少し力強く握った。
「あ…そう…なんだ…。おめでとう!!私も、今から渡しにいくところ!!じゃあまたね!!」
それだけ言うのが精一杯だった。私の最後のつよがりにどうか気づかないで。
校舎にかけこんで
一人で泣いた。