あの子のために雪は降る
「すずめ、今日はお兄ちゃんと服を買いに行くぞ。お前もその格好じゃ寒いだろ?」


俺がそういいながら牛乳を飲んでいると、すずめは意味が分からないといった顔で見つめ返してきた。


「あ〜、まぁ気にすんな。とりあえずソレ食っちまえよ。」


いちいち説明をするのがだるくなった俺は、適当にはぐらかしていすに腰掛けた。

…今日は平日、学校の奴等に会う事も無いだろう。
服を買ってから交番に行く。俺は駐在のオッサンにくどくど言われながら調書を取られる。
至って単純な計画さ…。

たった一日だったが、こんな経験も悪くないと、この時の俺は考えていた。

それにしてもすずめの奴、何だってサンタの話なんかしたんだ?
俺は妙に気になってカレンダーを見た。

12月23日
それが今日だった。

それでかよ…。

俺はいつから日付を見てなかったのだろう…。変化のない毎日は曜日の感覚すら薄くさせる。


雪が今年はあまり降らない。
元から多くはなかったが、ニュースで暖冬とか言っていたのも原因の一つなのだろう。

そんな大した意味の無い事を考えた俺は、パンを食べ終えたすずめと共に家を出る事にした。
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