あの子のために雪は降る
流石に外の風は冷たい。
俺は後ろをヒョコヒョコ追いて来るすずめを見て、昨日と同じように背中をあけた。


「まだ痛いのか?無理すんな、乗れよ。」


こんなチビをいくら背負っていても疲れはしないだろう。
むしろ俺の後ろを怪我した足で追いて来る方が辛いに決まってる。

面倒な子守りも今日でおしまいなら、このくらいはしてやっても構わないさ。


俺は一番近くにあったデパートの子供服売場に向かった。

平日な上にこのデパートは客が少ない。
とりあえず寒さがしのげりゃそれでいいだろうと考えた俺は、カートに安売りしていたトレーナーとジーンズ。それとジャンパーを購入する事にした。

全部で五千円くらい、高校生の俺には少し痛い値段だったが、金は親父からの仕送りが余っていたので問題は特に無かった。


すずめは可愛いプリントが入った服を気に入ったらしく、鏡の前でクルクルと回っていた。

俺に妹が居たらこんな感じだったのかな…なんて考えてる自分に恥ずかしくなった。


「お兄ちゃんありがとう!暖かいよ。」


ニコニコとぬいぐるみを抱いたすずめはそう言った。
昨日は訳の分からないガキだとしか思わなかったが、こんな不良の俺と話せるなんて大した奴だと思う。
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