あの子のために雪は降る
照り焼きバーガーとハッピーセットを盆に受け取った俺は、すずめが待つ席へと戻った。
…しかしすずめがいない。


「あれ?アイツどこ行きやがった?」


テーブルにハンバーガーを置いた俺は辺りを見回した。

すると何の事はない、席のソファーに横になってるじゃねえか。
テーブルの影に隠れて見えなかっただけだった。

とりあえず飯は食ってもらわなきゃならんし、交番にも行かなきゃならん。
疲れてるかも知らないがもうしばらく起きててもらわなければならない。

そう考えて、俺はすずめの横に腰をかけると体を軽く揺すってみた。


「おい、ハンバーガー買って来たぞ?起きろ。冷めちまったらまずくなるぜ?」


だがすずめは起きない。
何か様子がおかしい。
手に伝わる温もりが、明らかに普通よりも高いことを伝えていた。


「すずめ?」


最初は子供だから体温が高いのかと思ったが、寝息にしては少しおかしい呼吸音に俺は戦慄した。

「おい!!どうしたすずめ!」


俺は頭の中が真っ白になってすずめを抱き上げた!
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