あの子のために雪は降る
俺の名前は「田崎 健司」別に覚えてもらおうなんて思っちゃいない。

地元のカスが集まる不良高校の二年生って奴を、今年もやっている。

他にやりたい事もねーし、別に何回やろうが気にはしない。

ただ、目的もなく喧嘩ばかりしている毎日に、俺はやるせない苛立ちを抱えていた。

毎日毎日喧嘩喧嘩…。苛立ちはさらなる争いを呼び込み、いつしか俺の周りにはダチと呼べる奴が居なくなっていた。



しかしこの日が、俺の運命をがらりと変えた。



「あの野郎…加減無しに殴りやがって!奥歯ガタガタじゃねーか!」


片手をポケットから出して、頬を撫でながらそうボヤいた。

外はもうすぐ雪が降りそうなくらいに、キンッと冷えた空気に包まれていた。

それがまた傷に響いてズキズキする。
俺は早く家に戻るため、近道の路地裏を曲がっていった。
< 3 / 47 >

この作品をシェア

pagetop