あの子のために雪は降る
看護師は俺の手を優しく握りしめて「落ち着いて。」と呟いた。


「まだ検査してみないとはっきりした事は言えないわ…。まだ手の施しようがあるかもしれない。」


「頼むよ!アイツを助けてやってくれ!!俺に出来る事は無いのか!?何でも手伝うぜ!?」


「ありがとう、でも今は何も無いわ…。
じゃあ、私は急いで先生に伝えに行かなきゃいけないから戻るわね。」


それだけ言い残した看護師は、言葉通りに駆け足で戻って行った…。


俺は愕然としてその場に崩れ落ちた。


「俺が…俺があの時すずめから逃げなければ…話を聞いていれば…アイツは俺を追ってコケる事は無かった。
…体調も、ぶっ倒れる前から気付いてやれたはずだ畜生ー」


俺は逃げ出した自分のふがいなさに絶叫した!
悔しくて仕方がなかった!

アイツは行く宛も無くて寒空の下寂しかったに違いない!
金もないから飯も食えない、だから俺しか頼る奴が居なかったんだ!

そんな事すら気付かなかった俺は、面倒だ、変なガキだと、厄介者を抱えたとしか考えてなかった!


そんな自分に腹が立って、俺は自分の顔を殴りつけた。
< 30 / 47 >

この作品をシェア

pagetop