あの子のために雪は降る
「あなた、すずめちゃんのお兄さん?」


振り返ってみると、見たこと無い看護師が立っていた。


「…いや、俺はアイツのダチだよ。」


俺は再び外の景色を眺めながら虚ろに答えた。
おそらく看護師は不思議そうな顔をしてたに違いない。
こんな金髪でガラの悪い野郎が、すずめのダチなんて言っても信用するわきゃねえからな。

だが看護師はそんな事をいちいちそれを詮索する事は無かった…。


「なぁ…看護師さん。すずめの親御さんはどこにいるんだ?」


娘がヤバいってんなら飛んでくるのが普通の親だろ?
俺にも少しは責任がある。頭の一つくらいは下げたい心境だった。


「…すずめちゃんのお母さんはお亡くなりになって居ないの。お父さんは入院費を稼ぐために遠くで働いているんだけど…まだ連絡は取れていないわ。」


俺は目を閉じて鼻をフッと鳴らした。

こんな近くに俺と同じような奴が居たとはな…。
親もなかなか会えずに独りで過ごす毎日。
俺は喧嘩ばかりしていたが、お前は毎日何を考えていたんだ?




面会に来る友人は居たのか?

飯を一緒に食う奴は居たのか?

遊園地に行きたいって…お前は誰と行きたかったんだ?





俺はいつの間にか涙を流していた。
すずめが不憫で仕方がなかった!
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